Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
時刻はよしと、わたくしは止めを刺します。
「まあ、いゝから/\下に坐って落付きなさいってば、ほんとに大きな身体をしている癖に子供っぽいったらありゃしない、この人」
片眉を挙げて慈しみ深く、ころ/\と笑ってやります。「宿屋で呉れたこの手拭でその汗でもお拭きなさいったら」
すると葛岡は、どたりと坐って、腕で眼を擦りながら、しばらくして、
「僕もなあ、実は東京へ残して置いたことが気になり出したものだから、つい――」
と、正音を洩しました。
葛岡の言う東京へ残して置いた気にかゝることとは勿論、家族のことでした。葛岡は旅先から自宅へ葉書で一片のしらせだけはして置いたものゝ、年老いた祖母も母も、半月以上帰らない息子を案じ暮しているに決っていると言います。
「学園から呉れた退職金で二月や三月は食い継ぎは出来るようなものゝ、さて、その先をどうするか、二人ともさんざん気を揉んでるに違いないんだ。殊にこの頃の僕は、家の者には得体の判らない人間になっていたから」
わたくしは、これを聞いては、行末、見定められぬ自分ではありますが、やっぱり、
「東京へ帰ったら、あたしが何とかするわ」