Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しょうじょうるてん

生々流転

岡本 かの子

Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme

Aozora Bunko

彼はこゝへ来て、俄に座を立ち、台所へ行って彼のいわゆるおすんこを酒の肴に運んで来ました。元の席に即くと、置き注ぎにわたくしの盃へ酒を充し、自分も新しく一杯のんで、そのとき掌に零れた酒の雫を両手で平手に擦り拡げました。それから彼は、「ちょっと、ご免下さい」と言って、その両手の掌で彼の狭い額から濃い眉が憂たげに迫った眉根の皺や、豊かに弛んでいる両頬へかけて丹念にマッサージを始めました。

「一日に一ぺんはこれをやりませんと、皮膚があらびましてな」

わたくしは釣り込まれて、見物しながら、

「お酒の美容術ね。女の化粧下地よりも丁寧だわ」

「米の脂は鶯の糞より私には肌に合いますな」

それが終ると、彼は今度は両手の指で両耳の朶を引張り上げる所作を繰返し始めました。わたくしはゴムのように伸び縮みする赭い耳朶を異様に眺めながら、

「おかしなことをするのね。なによ。それ、耳のラヂオ体操」

すると彼は、ちっ、ちっ、ちっ、と笑って、

「違いない。耳のラヂオ体操」

つまり、こうやって耳朶の形を大黒さまのように福々しくして、将来、お金が出来るような耳相にするのだと彼は真面目な顔をして言いました。