Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
と嘉六が言いますと、母は母で、
「この子はどうかおしだよ。あんまり変ってしまって気味が悪いよ」
と怪訝がりますのをわたくしは、
「だって、まだ、外で働いてご飯が食べられない以上、こうでもしなくちゃ家にいても恰好がつかないじゃないの。それともお母さんが分のいゝ女給の口か芸妓の口でも見付て下さるの。すればわたくしどこへでもさっさと出て行くけれども」
と逆襲して、われながら綻びた笑い声だと思う笑いをあはゝゝゝゝゝゝと立てます。それがどうやら没くなった老婢の島の声に似ているようでうそ寂しい気はいたしますが。
まだ、池上にも葛岡にも逢いません。世帯染みたことに没頭しているいま、池上にしろ葛岡にしろ、また逢って最初に切出す皮切りのひと皮の挨拶が妙に億劫な気がいたします。
うす墨を流しているような気分のこの頃、男というものに逢えばそれでも多少は心に弾みか工夫の色つやをつけなければなりません。
それが割合に女には億劫なのです。たゞときどき人なつかしい気持の湧くときがございます。そんなときは誰に宛てよう相手もございませんから、やはり池上なり葛岡なりに向けて楽書のような手紙を書きます。