Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
けれども、明日の晩あたりからはまた危ないね」と笑った。彼は、わたしの非常識極まる決心を聞き、側杖の決心を彼もしなければならなかった今朝の暁の雨を思い出で、それに較べる今夜の虫の音の静けさを味って流石にほっとした容子である。二人は男世帯の気さんじな庵の中に敷き放しにされている北窓の下と南窓の下の寝床に、分れて寝に就いた。
蝶子、おまえはきょう昼過ぎわたしの庵へ出て、わたしから突然乱暴なわたしの決心を聞き、「まあ恐ろしい」と言った。その決心というのは、是が非でもわたしはおまえの肉体を一度は自分のものにしたい、その望みの実行だった。その無礼に対しておまえが謝罪を要求するなら貞操蹂躪の裁きの下に牢獄に下ることと、わたしは自分で生命を断つことと、この二つの何れの代価をも差出すことを用意していることを語った。
さらでだに悶々の情に堪えないで来たわたしのおまえに対する情熱は、ゆうべの夜中頃からいよ/\張り膨らまり、もはや最後の手段を取らないでは居ても立ってもいられない気持になった。やり切れないこの気持でいるのにわたしはちょうど向島の三囲稲荷に献額する現代江戸派の俳諧の揮毫を頼まれて、これを書き上げるのに式日まで四五日の期日を剰しているだけだ。