Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
わたしはたゞしなやかで敬虔な生物に早変りしていた。わたしがおまえに見出したおまえの無限な厚みのある、暖かくふくよかに百合の花の中のように匂って湿気のある胸にリードの儘になる一個の無心の生物になっていた。
秋雄も茶の間へ来て、一緒にわたし達はお蕎麦を食べた。おまえは言った。「もう少し考えさして頂いてから――あたし、ひょっとしたらおじさんに貰って頂くかも知れませんわ」
わたしは嬉々として「そいつは有難い」とは言ったが、――もうそのときからわたしは自分を省いて、たゞおまえの幸福のみに就て考えるおじさんの躾けを再び取上げて来たらしい。
わたしはおまえを自動車に乗せて、多那川橋の近くまで送って行って帰った。晩はぐっすり眠った。そしてその翌日からこの手紙を書き出した。書けども書けども尽きない。大事な奉納の俳句の額へ筆を染めたのはちょっとだけで、あとは飯もろく/\食わずにこの手紙を三四日書き続けて来た。たぶん懸額は奉納の式日までには間に合わないだろう。胃痙攣の麻痺薬の連飲計画なぞはどこかへ飛んでしまった。そして手紙の冒頭を書いたときの気持と、この終りを書くときの気持とはもう違っているのだ。