Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
せいあらば
生あらば
豊島 与志雄
Lesen Sie 生あらば (せいあらば) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.046 Zeichen · 47 Bildschirme
今その光景が彼の頭の中に蘇って来た。それはかの時とは違った色調を以て浮んでいた。其処には恐怖がなくて或る誘惑があった。壮助は少し左に傾けた首を堅く保ちながら、その光景の中に沈湎していった。
梯子段に老婆の足音が聞えた時、壮助ははっとして我に返った。自分の眼附が熱しているのを彼は内心に感じた。
「津川さん、これだけきり今ありませんから。」
そう云って老婆は彼の前に十五円差出した。
「えこれだけで間に合います。確かに。一週間ばかりしたら出来ますから。」
「いえいつでも宜しいですよ。……ですがね、お金が出来てもすぐに払ってはいけませんよ。私にお任せなさい、すっかり払うなんて馬鹿げていますよ。」
「え、その時はお願いするかも知れません。それでは一寸急ぎますから。」
壮助はそう云って机に向った。自分の方をじろりと見てゆく老婆の視線を背中に感ずるような気がした。
一人になると、彼は急に泣き出したいような感情がこみ上げて来た。凡てが浅間しくそして腹立たしかった。
彼は急いで古谷に手紙を書いた。――五日の晩は急用で後れたこと、金は今奔走中だから暫く待ってくれるようにということ、十五円だけ取り敢えず送るから利息の方へ入れてくれるようにということ。