Japanische Klassiker mit Furigana
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うまれいずるなやみ
生まれいずる悩み
有島 武郎
Lesen Sie 生まれいずる悩み (うまれいずるなやみ) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 50.587 Zeichen · 100 Bildschirme
食後の茶を飯茶わんに三杯続けさまに飲む人を私は始めて見た。
夜食をすましてから、夜中まで二人の間に取りかわされた楽しい会話を私は今だに同じ楽しさをもって思い出す。戸外ではここを先途とあらしが荒れまくっていた。部屋の中ではストーブの向かい座にあぐらをかいて、癖のように時おり五分刈りの濃い頭の毛を逆さになで上げる男ぼれのする君の顔が部屋を明るくしていた。君はがんじょうな文鎮になって小さな部屋を吹雪から守るように見えた。温まるにつれて、君の周囲から蒸れ立つ生臭い魚の香は強く部屋じゅうにこもったけれども、それは荒い大海を生々しく連想させるだけで、なんの不愉快な感じも起こさせなかった。人の感覚というものも気ままなものだ。
楽しい会話と言った。しかしそれはおもしろいという意味ではもちろんない。なぜなれば君はしばしば不器用な言葉の尻を消して、曇った顔をしなければならなかったから。そして私も苦しい立場や、自分自身の迷いがちな生活を痛感して、暗い心に捕えられねばならなかったから。
その晩君が私に話して聞かしてくれた君のあれからの生活の輪郭を私はここにざっと書き連ねずにはおけない。