Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うまれいずるなやみ

生まれいずる悩み

有島 武郎

Lesen Sie 生まれいずる悩み (うまれいずるなやみ) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 50.587 Zeichen · 100 Bildschirme

Aozora Bunko

ているのをまのあたりに見やった時、君はそれまでの考えののんき過ぎたのに気がついたに違いない。充分の思慮もせずにこんな生活の渦巻の中に我れから飛び込んだのを、君の芸術的欲求はどこかで悔やんでいた。その晩、磯臭い空気のこもった部屋の中で、枕につきながら、陥穽にかかった獣のようないらだたしさを感じて、まぶたを合わす事ができなかったと君は私に告白した。そうだったろう。その晩一晩だけの君の心持ちをくわしく考えただけで、私は一つの力強い小品を作り上げる事ができると思う。

しかし親思いで素直な心を持って生まれた君は、君を迎え入れようとする生活からのがれ出る事をしなかったのだ。詰め襟のホックをかけずに着慣れた学校服を脱ぎ捨てて、君は厚衣を羽織る身になった。明鯛から鱈、鱈から鰊、鰊から烏賊というように、四季絶える事のない忙しい漁撈の仕事にたずさわりながら、君は一年じゅうかの北海の荒波や激しい気候と戦って、さびしい漁夫の生活に没頭しなければならなかった。しかも港内に築かれた防波堤が、技師の飛んでもない計算違いから、波を防ぐ代わりに、砂をどんどん港内に流し入れるはめになってから、船がかりのよかった海岸は見る見る浅瀬に変わって、出漁には都合のいい目ぬきの位置にあった君の漁場はすたれ物同様になってしまい、やむなく高い駄賃を出して