Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うまれいずるなやみ

生まれいずる悩み

有島 武郎

Lesen Sie 生まれいずる悩み (うまれいずるなやみ) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 50.587 Zeichen · 100 Bildschirme

Aozora Bunko

それは全く悲しい事だ。そして不条理な事だ。しかしだれがこの不条理な世相に非難の石をなげうつ事ができるだろう。これは悲しくも私たちの一人一人が肩の上に背負わなければならない不条理だ。特異な力を埋め尽くしてまでも、当面の生活に没頭しなければならない人々に対して、私たちは尊敬に近い同情をすらささげねばならぬ悲しい人生の事実だ。あるがままの実相だ。

パンのために精力のあらん限りを用い尽くさねばならぬ十年――それは短いものではない。それにもかかわらず、君は性格の中に植え込まれた憧憬を一刻も捨てなかったのだ。捨てる事ができなかったのだ。

雨のためとか、風のためとか、一日も安閑としてはいられない漁夫の生活にも、なす事なく日を過ごさねばならぬ幾日かが、一年の間にはたまに来る。そういう時に、君は一冊のスケッチ帳(小学校用の粗雑な画学紙を不器用に網糸でつづったそれ)と一本の鉛筆とを、魚の鱗や肉片がこびりついたまま、ごわごわにかわいた仕事着のふところにねじ込んで、ぶらりと朝から家を出るのだ。

「会う人はおら事気違いだというんです。けんどおら山をじっとこう見ていると、何もかも忘れてしまうです。