Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うまれいずるなやみ

生まれいずる悩み

有島 武郎

Lesen Sie 生まれいずる悩み (うまれいずるなやみ) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 50.587 Zeichen · 100 Bildschirme

Aozora Bunko

そしてクリムソンレーキを水に薄く溶かしたよりもっと鮮明な光を持った鱗の色に吸いつけられて、思わずぼんやりと手の働きをやめてしまう。

これらの場合はっと我れに返った瞬間ほど君を惨めにするものはない。居眠りしたのを見つけられでもしたように、君はきょとんと恥ずかしそうにあたりを見回して見る。ある時は兄上や妹さんが、暗まって行く夕方の光に、なお気ぜわしく目を縄によせて、せっせとほつれを解いたり、切れ目をつないだりしている。ある時は漁夫たちが、寒さに手を海老のように赤くへし曲げながら、息せき切って配縄をたくし上げている。君は子供のように思わず耳もとまで赤面する。

「なんというだらしのない二重生活だ。おれはいったいおれに与えられた運命の生活に男らしく服従する覚悟でいるんじゃないか。それだのにまだちっぽけな才能に未練を残して、柄にもない野心を捨てかねていると見える。おれはどっちの生活にも真剣にはなれないのだ。おれの絵に対する熱心だけから言うと、絵かきになるためには充分すぎるほどなのだが、それだけの才能があるかどうかという事になると判断のしようが無くなる。もちろんおれに絵のかき方を教えてくれた人もなければ、おれの絵を見てくれる人もない。