Japanische Klassiker mit Furigana
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うまれいずるなやみ
生まれいずる悩み
有島 武郎
Lesen Sie 生まれいずる悩み (うまれいずるなやみ) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 50.587 Zeichen · 100 Bildschirme
やがて漁夫たちはそこらを片付けてやおら立ち上がると、胴の間に降り積んだ雪を摘まんで、手のひらで擦り合わせて、指に粘りついた飯粒を落とした。そして配縄の引き上げにかかった。
西に舂きだすと日あしはどんどん歩みを早める。おまけに上のほうからたるみなく吹き落として来る風に、海面は妙に弾力を持った凪ぎ方をして、その上を霰まじりの粉雪がさーっと来ては過ぎ、過ぎては来る。君たちは手袋を脱ぎ去った手をまっかにしながら、氷点以下の水でぐっしょりぬれた配縄をその一端からたぐり上げ始める。三間四間置きぐらいに、目の下二尺もあるような鱈がぴちぴちはねながら引き上げられて来る。
三十町に余るくらいな配縄をすっかりたくしこんでしまうころには、海の上は少し墨汁を加えた牛乳のようにぼんやり暮れ残って、そこらにながめやられる漁船のあるものは、帆を張り上げて港を目ざしていたり、あるものはさびしい掛け声をなお海の上に響かせて、忙しく配縄を上げているのもある。夕暮れに海上に点々と浮かんだ小船を見渡すのは悲しいものだ。そこには人間の生活がそのはかない末梢をさびしくさらしているのだ。
君たちの船は、海風が凪ぎて陸風に変わらないうちにと帆を立て、艪を押して陸地を目がける。