Japanische Klassiker mit Furigana
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うまれいずるなやみ
生まれいずる悩み
有島 武郎
Lesen Sie 生まれいずる悩み (うまれいずるなやみ) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 50.587 Zeichen · 100 Bildschirme
一日一日生命の力から遠ざかって行く老人と、若々しい生命の力に悩まされているとさえ見える妹の寝顔は、明滅する炎の前に幻のような不思議な姿を描き出す。この老人の老い先をどんな運命が待っているのだろう。この処女の行く末をどんな運命が待っているのだろう。未来はすべて暗い。そこではどんな事でも起こりうる。君は二人の寝顔を見つめながらつくづくとそう思った。そう思うにつけて、その人たちの行く末については、素直な心で幸あれかしと祈るほかはなかった。人の力というものがこんな厳粛な瞬間にはいちばんたよりなく思われる。
君はスケッチ帳を枕もとに引きよせて、垢じみた床の中にそのままもぐり込みながら、氷のような布団の冷たさがからだの温みで暖まるまで、まじまじと目を見開いて、君の妹の寝顔を、憐れみとも愛ともつかぬ涙ぐましい心持ちでながめつづける。それは君が妹に対して幼少の時から何かのおりに必ずいだくなつかしい感情だった。
それもやがて疲労の夢が押し包む。
今岩内の町に目ざめているものは、おそらく朝寝坊のできる富んだ惰け者と、灯台守りと犬ぐらいのものだろう。夜は寒くさびしくふけて行く。