Japanische Klassiker mit Furigana
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たざきそううんとそのこ
田崎草雲とその子
吉川 英治
Lesen Sie 田崎草雲とその子 (たざきそううんとそのこ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.568 Zeichen · 40 Bildschirme
胎内すでに運命の人 老蝉幼蝉みんみん共鳴す
しまいには、番所から、こんな手紙が来るほど懇意になってしまったので、もう兄弟の商売は上ったりである。
それに、梅渓も、漸く画道の精進に、全熱的になって、秋日の空も、想わなかったのである。
胎内すでに運命の人
老蝉幼蝉みんみん共鳴す
彼は、野州足利藩の軽輩だった。
士分といっても、足軽に毛が生えたぐらいな格に過ぎない。尤も、藩主戸田大炊頭忠文その人からして、僅々一万一千石、ずいぶん貧窮な大名だった。
梅渓は、その小藩に運命づけられて生れた。幼名を頼助、後に恒太郎、諱を明義、また芸と称して、四十六歳以後は、その芸の字劃を二つにわけて草雲と号した。
便宜上、ここから先、草雲でよぶ。
草雲は、貧乏な君侯と、貧乏な父と、貧乏な自分とを、小川町の藩邸の長屋で生れた時から、持っていた人だと云える。父の常蔵は、足軽二人扶持から、生涯忠勤をして、やっと、士分に漕ぎつけた所で死んだ。
この頃、二人扶持が、どんなに残酷な、人間の生活費であるかは、草雲の生れた折の話で分るのである。しかし、伝えられる説と私の解釈とは、違うのであるが――
それは、草雲の母ます女が、彼を妊娠した時に、良人の常蔵に、その欣びをささやくと、常蔵は、暗然として、