Japanische Klassiker mit Furigana
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たざきそううんとそのこ
田崎草雲とその子
吉川 英治
Lesen Sie 田崎草雲とその子 (たざきそううんとそのこ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.568 Zeichen · 40 Bildschirme
彼に、画心の眼をひらかせた人は、金井烏州であり、六法の初歩を授けた者は、川崎の隠士加藤梅翁だった。
江戸へ出ては、文晁に鞭撻され、崋山に刺戟され、春木南湖の門をたたき、靄に質すという風だった。――然し、彼自身の画眼は、べつに一見識あって、宗元を摸していわゆる独学独創を心に誓ったにちがいない。支那の劉松年、仇十州、銭滄州あたりの扮本を手にでもいれると、まったく妻も子も、米の事もない、天地の一孤夫草雲だった。
ひとり草雲のみではないが、この時代の画人や詩家が、どんなに「紙」を尊んだか、惜しんだかを、私たちは、今の唯物的な、科学万能の社会の中から、考えてみるのも、想像のほかだ。一枚の画箋はたいへんな物だった。値ではない。世間に無いのではない。貧しい画家にとって、金に等しいのである。田能村竹田のごときは、筆はあっても、常に、紙にこがれた。皺苦茶な紙でも、のばして使った。舶載の唐紙一枚にめぐり会う時は、それへ筆を落すことを、恋人と契るように昂奮して、彼等は、詩を書いている、画を描いている。
むろん、草雲の如きは、紙に不自由すること、米以上だったろう。反古を、金の如くのべて、古画を臨する。