Japanische Klassiker mit Furigana
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くじょしょうろく
痀女抄録
矢田 津世子
Lesen Sie 痀女抄録 (くじょしょうろく) von 矢田 津世子 (やだつせこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.578 Zeichen · 65 Bildschirme
荒物の売上げだけでは凌げなかったから、仕立物処と小さな看板を出して、母娘のものは賃仕事に精を出した。母親のお針上手は知れ渡って、湯島花街あたりからの誂えなどもひっきりなしにあるようになった。
母親の生き甲斐は寿女ひとりにかかっていた。不自由な姿の、いっ時も心から離れたことは無かった。母親は不具の子として寿女を扱ったことは無かった。決して、不具の子として劬わったり憫れんだりしたことは無かった。並の子供へ向けるのと同じように、使い走りをさせたり拭き掃除をさせたり、口喧ましく叱言をいったりした。また、連れだって歩いている時、母親は容赦なくさっさと歩いた。寿女は息切れがして決して早くは歩けなかったから、この母親の並足に追いつくため、真っ赤になってせいせい息をきらした。母親のこの苛酷さは、母親の慈愛であった。
寿女は髪がよかったから、母親は口ぐせにその髪を自慢した。下町中の娘を寄せ集めてもこれくらいの髪をもっているもんはあれあしない、などと見惚れた。そして正月にはきっと桃われだの結綿だのに結わせて、つれ立って街通りへ出かけた。
寿女は人前へ出ると、しぜん、髪へ手をやるのが仕癖になった。