Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちじんのあい

痴人の愛

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 痴人の愛 (ちじんのあい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.399 Zeichen · 353 Bildschirme

Aozora Bunko

暗くはなったが、表の電信柱にある街燈の灯先が窓ガラスに映っているので、部屋の中はお互の顔や着物が見分けられるほどもやもやと明るく、ナオミが熊谷の首を跨いで、自分の布団へ飛び降りた刹那の、寝間着の裾のさっとはだけた風の勢が私の鼻を嬲りました。

「まアちゃん、一服煙草を吸わない?」

ナオミは直ぐに寝ようとはしないで、男のように股を開いて枕の上にどっかと腰かけ、上から熊谷を見おろしながら云うのでした。

「よう! 此方をお向きよ!」

「畜生、どうしても己を寝かさねえ算段だな」

「うふふふふ、よう! 此方をお向きよ! 向かなけりゃいじめてやるよ」

「あ、いてえ! よせ、止せ、止せッたら! 生き物だから少し鄭重にしてくんねえ、蹈み台にされたり蹴られたりしちゃ、いくら頑丈でもたまらねえや」

「うふふふふ」

私は蚊帳の天井を見ているのでハッキリ分りませんでしたが、ナオミは足の爪先で男の頭をグイグイ押したものらしく、

「仕方がねえな」

と云いながら、やがて熊谷は寝返りを打ちました。

「まアちゃん、起きたのかい?」

そう云う浜田の声がしました。

「ああ、起きちゃったよ、盛んに迫害されるんでね」