Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちじんのあい

痴人の愛

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 痴人の愛 (ちじんのあい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.399 Zeichen · 353 Bildschirme

Aozora Bunko

の時のように杯の遣り取りを始めていました。

「君、君、どうです一杯」

「やあ、そう飲まされちゃ、空き腹だからこたえますなあ」

「まあいいでしょう、今夜は僕の厄落しだから、一つ祝杯を挙げて下さい。僕も明日から酒は止めます、その代り今夜は大いに酔って談じようじゃありませんか」

「ああ、そうですか、それじゃあなたの健康を祝します」

浜田の顔が真っ赤に火照って、満面に出来たニキビの頭が、あたかも牛肉が湯立ったようにぶつぶつ光り出した時分には、私も大分酔っ払って、悲しいのだか嬉しいのだか何も分らなくなっていました。

「ところで浜田君、僕は聞きたいことがあるんだ」

と、私は頃合を見計らって、一段と膝を進めながら、

「ヒドイ仇名がナオミに附いていると云うのは、一体どんな仇名ですか?」

「いや、そりゃ云えません、そりゃあとてもヒドイんですから」

「ヒドクったって構わんじゃありませんか。もうあの女は僕とはあかの他人だから、遠慮することはないじゃないですか。え、何と云うんだか教えて下さいよ。却ってそいつを聞かされた方が、僕は気持がサッパリするんだ」

「あなたはそうかも知れませんが、僕には到底、云うに堪えないことなんだから堪忍して下さい。