Japanische Klassiker mit Furigana
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しろいはなあかいくき
白い花赤い茎
田中 貢太郎
Lesen Sie 白い花赤い茎 (しろいはなあかいくき) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.634 Zeichen · 12 Bildschirme
「私は餅でも喫べないと、お腹が空いて歩けない、も一つ貰いたい」
老婆は胸に両手をかけてさも空腹だと云うような風をして立った。はじめに見たにこにこした顔は無くなって、醜い光沢の悪い顔を月の光に浮きあがらせていた。寡婦はしかたがないのでまた二つを執ってやった。
「ほんとうにこれっきりよ」
老婆はまたそれを喫べながら歩いた。寡婦は後の残った餅の数を考えて、……もう二つ宛しかないぞと思った。彼女は老婆が憎くて憎くてしかたがなかった。彼女は怒を足にやって、落葉を蹴りつけるようにして歩いた。と、老婆はまた立ち停って背後を向いた。
「私はどうもお腹が空いて空いて、歩けないよ、も一つ貰いたい」
「お婆さん、困るじゃないか、小供が待ってると云ってるじゃないか、十二三になる子と、八つになる子と、五つになる子が、一日留守番をして、私の帰るのを待ってるじゃないか、小供に可哀そうじゃないか」
寡婦は叱りつけながらひょいと老婆の顔を見ると、老婆も憤っているように眼をぎらりと光らして、唇の紅い切れの長い口元に力を入れていた。鬼婆と云うことが寡婦の頭を走った。彼女は総身の肉が氷るように思った。