Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しろすみれとしいのき

白すみれとしいの木

小川 未明

Lesen Sie 白すみれとしいの木 (しろすみれとしいのき) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 2.429 Zeichen · 5 Bildschirme

Aozora Bunko

彼は、駆けて、駆けて、駆けぬきました。そして疲れると、体から汗が出て、これほどの寒さもそんなに寒いとは思いませんでした。彼は、ところどころ休みました。そして行く手にそびえて見える高い山を仰ぎました。月の光が、かすかにその山を浮き出しているのでした。

弟は、ほとんど自分でも、どうしてこうよく走れるかわからないほど走りました。そして、どこをどう走ってきたかわかりませんでした。夜明けごろでありました。赤い火の球が自分の前になって、雪の上をころころと転げていきました。

彼は、これはなんだろうと思いました。きっと魔物にちがいない。けれどもう自分の命を惜しいと思いませんから、それをつかまえようといっしょうけんめいに跡を追いました。すると火の球は、ころころと谷底に転がり落ちました。

彼も、火の球について谷へ下りようとしますと、もはや夜が明けていました。そして、そこは路もないまったく山中で、あのきばのように高い山は、まだ遠くなって見えたのであります。

どうしたらいいかと思って、まごまごしていますと、その中に日の光がさしてきました。雪はしだいに軟らかくなって、弟は、もう一歩も身動きすることができなくなりました。