Japanische Klassiker mit Furigana
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しらねのふもと
白峰の麓
大下 藤次郎
Lesen Sie 白峰の麓 (しらねのふもと) von 大下 藤次郎 (おおしたとうじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.238 Zeichen · 45 Bildschirme
流れに掩い冠さっている秋草の色が美しい。ここで縦画を描きはじめて四、五時間を送った。
十日には出発の予定であったが、朝起きて見れば、すさまじき大雨で終に見合わせた、昨夜は満天に星が輝いていたのに、秋の空は頼みがたいものだと思う。
清かりし湯川の水も濁り、早川は褐色に変って、水嵩も常に幾倍して凄い勢いであった。
湯島温泉の長所は、気候の温和なため、秋の紅葉が長く見られること、宿の気の置けぬことなどで、短所は、ちょっと出るにも武装をせねばならぬ不便、郵便のおそきこと、物価の安からぬことなどである。夜に入って大風吹きすさみ、梢を鳴らし枝を振う、紅葉黄葉、恐らくあとかたもなく早川の流に乱れて、遠く遠く南の方に去り、一夜にしてこの渓を冬に化せしめしことならんと思いつつ夢に入る。
十八
十一日は、霧の間に所々鮮かなコバルトの空も見えた。宿を出たのは八時半、峠の上までというので、宿の若い人に荷物をたのむ。来路を避けて七曲峠を、池の茶屋へ出で、鰍沢に向うのである。
天長節に上った峠、それと同じ道で、通例曲折の烈しきところを、よく九十九折などと形容するが、ここは実に二百余を数えた。