Japanische Klassiker mit Furigana
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はくもくれん
白木蓮
豊島 与志雄
Lesen Sie 白木蓮 (はくもくれん) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.039 Zeichen · 24 Bildschirme
「ちょっと、一人で考え事をしたいから、酒だけを頼みますよ。」
ぬるい炬燵に半身をもたせて、夕暮の一刻を、とりとめもない感慨に耽るのだが、なにか場違いな心地で落着きがない。逃亡か……酔いつぶれるか……。そこへ、喜美子がお銚子を持って来ると、私はもう他愛なくにこにこしてしまう。
「まあ、電気もつけないで……。」
喜美子は薄暗いのが嫌いだ。そして私は、彼女に電灯をつけてもらうのが好きだ。
「また、考え事をしていらしたの。」
「うむ、ちょっとね。さっき、焼け跡で、だいぶ長く石に腰掛けていたものだから、風邪でも引きはしなかったろうかと思って……。」
「あら、済みません。御免なさい。」
「僕のことじゃないよ。喜美ちゃんが風邪を引きはしなかったろうかと……。」
彼女は眼を二つ三つ大きくまたたいて、私を見た。
「だから、一杯飲むといいよ。」
彼女はちょっとためらって、そして微笑む。
「一杯だけよ。」
その一杯を、幾度にも区切って飲んでから、ねだるように言う。
「桃代姐さん、呼びましょうよ。」
喜美子の口から、桃代姐さんと、桃代さんと、二通りの言葉が、ごく自然に出てくるのだ。これは他の者には普通にないことだ。