Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しろあり

白蟻

小栗 虫太郎

Lesen Sie 白蟻 (しろあり) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 54.099 Zeichen · 106 Bildschirme

Aozora Bunko

しかし、滝人の眼から見ると、そこには魔法のような不思議な変化が現われていったのである。

と云うのは、白と灰色とで段だらにした格子の間を、真黒に塗り潰してしまうと、その灰色がまったく白ちゃけてしまうのであるが、この場合も、それと同じ色彩の対比であろうか。皓歯の輝きが一つ一つ消え行くにつれて、それに取って代った天鵞絨のような斑が、みるみる顔一面に滲み拡がっていった。すると、不思議な事には、頬の窪みにすうっと明るみが差し、細やかな襞や陰影が底を不気味に揺り上げてきて、わずかに耳の付け根や、生え際のあたりにだけ、病んだような微妙な線が残されるばかりになった。そうして、隆起したくびれ肉からは、波打つような感覚が起ってきて、異様に唆りがちな、まるで繻子のようにキメの細かい、逞しい肉付きの腰みたいに見えた。滝人は、もうどうすることもできず、見まいとして瞼を閉じた。すると、また暗黒の中で、それが恐ろしくも誇張された容となって現われ、今や十四郎のありし日の姿が、その顔の中に永久住んでゆくかのごとく思われるのだった。そうした、とうてい思いもつかなかった喜ばしさの中で、なぜか滝人は、ぞくぞく震えていたのである。