Japanische Klassiker mit Furigana
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ひゃくしょうやのすけのはなし
百姓弥之助の話
中里 介山
Lesen Sie 百姓弥之助の話 (ひゃくしょうやのすけのはなし) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.621 Zeichen · 99 Bildschirme
それから以来、彼は軍籍には何等の関係の無い身ではあるが、その都度都度の軍国気分というものは可なり深刻に味わされていたものである、が、この度の日支事変に遭って見るとずっと年もとっているし、その立場に於ても甚だ変ったものが多い。
四
つい、この夏、弥之助は信州の高原地で暫くの間暮した。
彼は少年時代には相当に肥った丈夫な子供であったが、青年時代は色々の苦しい生活に遭って非常に健康を害してしまったが、その後修養につとめたせいか、また健康を取り戻し、寒暑共に余り頓着はしなかったが、漸く老境に入りかけたせいか近来は夏がなかなか苦しい、殊に暑さと蚊に攻められて著作をするというようなことは気が焦れてたまらない、それでこの頃から高原地へ安居を求める気になったのである、武州の八王子から上州の高崎まで八高線という田舎鉄道が近頃出来上った、この村から汽車で高原地へ行く場合には、この線路をとるのが一番都合がよい、この程、この田舎鉄道の中で、高崎の聯隊へ召集される兵士の幾人かと乗り合せたことがあった、至る処の駅で前に云ったような盛んな送別の行列であった、こんどの召集された兵達は皆相当の年配であって、年は三十五六前後、何れも妻があり子供の二三人もあり、それからそれぞれ一家の業にいそしんでいる人達であった。