Japanische Klassiker mit Furigana
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もうもくものがたり
盲目物語
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 盲目物語 (もうもくものがたり) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.341 Zeichen · 148 Bildschirme
と、うたわれるのでござりましたが、これは三味線もまえとはすっかりちがっておりながら、やはりあの手だけがあいま/\へ挟んであるのでござります。あゝ、さては朝露軒どのは敵方のまわしものか、でなくばちかごろ急に内通なされたのか、いずれにしてもひでよし公のおおせをふくんでおくがたをてきにわたそうとしておられるのだな、おもわぬときにおもわぬたすけがあらわれたものだが、ひでよし公がまだおあきらめにならなんだとは、なんたるつよい恋だったのかと、にわかにむねをとゞろかしておりますと、「さあ、弥市、いま一曲その方に所望だ」と申されて、ふたゝびしゃみせんをわたくしの前へ置かれました。それにしてもこのようなめくら法師をさほどたよりになされるのはなにゆえか。おくがたのためとあらば火のなか水のなかをも辞せぬこゝろのおくを、はずかしくも朝露軒どのにいつか見やぶられておりましたことか。もっともわたくし、眼は見えずともお女中がたの中におりまするたったひとりのおとこでござります。それにかず/\のお座敷というお座敷、わたり廊下のすみ/″\までも、眼あきよりよく勝手をそらんじておりまして、まさかの時はねずみより自由にはしれます。