Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうせんでんしゃのしゃげきしゅ
省線電車の射撃手
海野 十三
Lesen Sie 省線電車の射撃手 (しょうせんでんしゃのしゃげきしゅ) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.355 Zeichen · 45 Bildschirme
林に囲まれた二つ三つの広い邸宅だのがあるきりで、その間間には起伏のある草茫々の堤防や、赤土がむき出しになっている大小の崖や、池とも水溜ともつかぬ濠などがあって、電車の窓から首をさしのべてみるまでもなく、真暗で陰気くさい場所だった。この辺を電車が馳っているときは、車内の電燈までが、電圧が急に下りでもしたかのように、スーッと薄暗くなる。そのうえに、線路が悪いせいか又は分岐点だの陸橋などが多いせいか、窓外から噛みつくようなガタンゴーゴーと喧しい騒音が入って来て気味がよろしくない。という地点へ、その省線電車が、さしかかったのだった。
その電車は六輌連結だったが、前から数えて第四輌目の車内に、みなさんお馴染の探偵小説家戸浪三四郎が乗り合わせていた。もし読者諸君がその車輌に同車していたならきっとおかしく思われたに相違ない。というのは、戸浪三四郎は『新青年』へ随筆を寄稿してこんなことを云った。
「僕は電車に乗ると、なるべく若い婦人の身近くを選んで座を占める。彼女の生ぐさい体臭や、胸を衝くような官能的色彩に富んだ衣裳や、その下にムックリ盛りあがった肢態などは、日常吾人の味うべき最も至廉にして合理的なる若返り法である」