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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんじゅふじん

真珠夫人

菊池 寛

Lesen Sie 真珠夫人 (しんじゅふじん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 289.296 Zeichen · 578 Bildschirme

Aozora Bunko

七

「お父様! 荘田の使が参りました。」

そう父に取り次いだ瑠璃子の声は、かすかに顫えを帯びるのを、何うともする事が出来なかった。

「よし、応接室に通して置け。」

そう云いながら、父は傍の手文庫を無造作に開いた。部屋の中は可なり暗かったが、その開かれた手文庫の中には、薄紫の百円紙幣の束が、――そうだ一寸にも近い束が、二つ三つ入れられてあるのが、アリ/\と見えた。

瑠璃子は、思わず『アッ』と声を立てようとした。

七

父の手文庫に思いがけなくも、ほのかな薄紫の紙幣の厚い束を、発見したのであるから、瑠璃子が声を立てるばかりに、駭いたのも無理ではなかった。駭くのと一緒に、有頂天になって、躍り上って、欣ぶべき筈であった。が、実際は、その紙幣を見た瞬間に云い知れぬ不安が、潮の如くヒタ/\と彼女の胸を充した。

瑠璃子は、父がその札束を、無造作に取り上げるのを、恐ろしいものを見るように、無言のまゝじっと見詰めていた。

父が、応接室へ出て行くと、鷲鼻の男は、やんごとない高貴の方の前にでも出たように、ペコ/\した。

「これは、これは男爵様でございますか。私はあの、荘田に使われておりまする矢野と申しますものでございます。