Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんじゅふじん

真珠夫人

菊池 寛

Lesen Sie 真珠夫人 (しんじゅふじん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 289.296 Zeichen · 578 Bildschirme

Aozora Bunko

四

瑠璃子には、結婚して以来、初めて夫の帰るのが待たれた。何時もは、夫の帰るのを考えると、妙に身体が、引き緊ってムラ/\とした悪感が、胸を衝いて起るのであったが、今宵に限っては、不思議に夫の帰るのが待たれた。勝平の鉄のような腕が何となく頼もしいように思えた。逗子の停車場から自動車で、危険な海岸伝いに帰って来ることが何となく危まれ出した。

「こう荒れていると、鐙摺のところなんか、危険じゃないかしら。」と女中に対して瑠璃子は、我にもあらず、そうした心配を口に出してしまった。

その途端に、吹き募った嵐は、可なり宏壮な建物を打ち揺すった。鎖で地面へ繋がれている廂が、吹きちぎられるようにメリ/\と音を立てた。

四

「こんなに荒れると、本当に自動車はお危のうございますわ。一層こんな晩は、彼方でお宿りになるとおよろしいのでございますが。」

女中も主人の身を案ずるようにそう云った。が、瑠璃子は是非にも帰って貰いたいと思った。何時もは、顔を見ている丈でも、ともすればムカ/\して来る勝平が、何となく頼もしく力強いように感ぜられるのであった。

日が、トップリ暮れてしまった頃から、嵐は益吹き募った。