Japanische Klassiker mit Furigana
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しんじゅふじん
真珠夫人
菊池 寛
Lesen Sie 真珠夫人 (しんじゅふじん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 289.296 Zeichen · 578 Bildschirme
が、彼の理性が働いた。彼は一時は、駭いたものの直ぐその青年が、いつかの葬場で見たことのある青木淳の弟であることに、気が付いた。
然し、彼が最初の駭きから、やっと恢復した時、今度は第二の駭きが彼を待っていた。青年と相対して語っている男は、紛れもなく海軍士官の軍服を着けている。海軍士官の軍服に気が付いたとき、信一郎の頭に、電光のように閃いたものは、村上海軍大尉という名前であった。青年が、遺して行った手記の中に出て来る村上海軍大尉と云う名前だった。
青木淳が、烈しい忿恨を以て、ノートに書き付けた文句が、信一郎の心に、アリ/\と甦って来た。
『昨日自分は、村上海軍大尉と共に、彼女の家の庭園で、彼女の帰宅するのを待っていた。その時に、自分はふと、大尉がその軍服の腕を捲り上げて、腕時計を出して見ているのに気が付いた。よく見ると、その時計は、自分の時計に酷似しているのである。自分はそれとなく、一見を願った。自分が、その時計を、大尉の頑丈な手首から、取り外したときの駭きは、何んなであったろう。若し、大尉が其処に居合せなかったら、自分は思わず叫声を挙げたに違ない。