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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんじゅふじん

真珠夫人

菊池 寛

Lesen Sie 真珠夫人 (しんじゅふじん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 289.296 Zeichen · 578 Bildschirme

Aozora Bunko

五

唖が、大切な機会に喋べろうとするように、たゞいら/\焦り立っているばかりだった。

「そう/\、貴女に申上げたいことがあったのです。つい、此間中から機会がなくて。」

青年は、大切なことをでも、話すように言葉を改めた。動き易い少女の心は、そんなことにまで烈しく波立つのだった。

五

相手がどんなことを云い出すのかと、美奈子は、胸を躍らしながら待っていた。

青年は、一寸云い憎そうに、口籠っていたが、やっと思い切ったように云った。

「此間中から、お礼を申上げよう申上げようと思いながら、ついその儘になっていたのです。此間はどうも有難うございました。」

夕闇に透いて見える彼の白い頬が、思い做しか少し赤らんでいるように思われた。美奈子も相手から、思いがけもない感謝の言葉を受けて、我にもあらず、顔がほてるように熱くなった。彼女は、青年から礼を云われるような心覚えが、少しもなかったのである。

「まあ! 何でございますの! わたくし!」

美奈子は、当惑の目を刮った。

「お忘れになったのですか。お忘れになっているとすれば、僕は愈々感謝しなければならぬ必要があるのです。お忘れになりましたですか。