Japanische Klassiker mit Furigana
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しんじゅふじん
真珠夫人
菊池 寛
Lesen Sie 真珠夫人 (しんじゅふじん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 289.296 Zeichen · 578 Bildschirme
本心ならば、本心らしい証拠を見せていたゞきたいのです。」
青年が、焦っても激しても、動かない母だった。
「証拠なんて! 妾の言葉を信じて下さらなければ、それまでよ。お女郎じゃあるまいし、まさか、起請を書くわけにも行かないじゃないの。」
母の貴婦人らしからぬ言葉遣いが、美奈子の心を傷ましめた。
「証拠と云って、品物を下さいと云うのじゃありません。僕が、先日云ったことに、ハッキリと返事をしていたゞきたいのです。たゞ『待っていろ』ばかりじゃ僕はもう堪らないのです。」
「先日云ったことって、何?」
母は、相手を益々じらすように、しかもなまめかしい口調で云った。
「あれを、お忘れになったのですか、貴女は?」
青年は憤然としたらしかった。
「あんな重大なことを、僕があんなに一生懸命にお願いしたのを、貴女はもう忘れて、いらっしゃるのですか。じゃ、繰り返してもう一度、申上げましょう。瑠璃子さん、貴女は僕と結婚して下さいませんか。」
結婚と云う思いがけない言葉を聴くと、美奈子は、最後の打撃を受けたように思った。青年の母に対する決心が、これほど堅く進んでいようとは夢にも思っていないことだった。