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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんじゅふじん

真珠夫人

菊池 寛

Lesen Sie 真珠夫人 (しんじゅふじん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 289.296 Zeichen · 578 Bildschirme

Aozora Bunko

あんな秘密な時計をさえ、自分には託したのだ、その時計の本当の持主を知るために、ノートを見る位は、許して呉れるだろうと、信一郎は思った。

でも家に帰って、まだ旅行から帰ったまゝに、放り出してあったトランクを開いたとき、信一郎は可なり良心の苛責を感じた。

が、彼が時計の謎を知ろうと云う慾望は、もっと強かった。美しい瑠璃子夫人の謎を解こうと云う慾望は、もっと強かった。

彼は、恐る恐るノートを取り出した。秘密の封印を解くような興奮と恐怖とで、オズ/\表紙を開いて見た。彼の緊張した予期は外れて、最初の二三枚は、白紙だった。その次ぎの五六枚も、白紙だった。彼は、裏切られたようなイラ/\しさで、全体を手早くめくって見た。が、何の頁も、真白な汚れない頁だった。彼が、妙な失望を感じながら、最後までめくって行ったとき、やっと其処に、インキの匂のまだ新しい青年の手記を見たのである。それは、ノートの最後から、逆にかき出されたものだった。

信一郎は胸を躍らしながら、貪るようにその一行々々を読んだのである。可なり興奮して書いたと見え、字体が荒んでいる上に、字の書き違などが、彼処にも此処にもあった。