Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

そぼのために

祖母のために

宮本 百合子

Lesen Sie 祖母のために (そぼのために) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.632 Zeichen · 16 Bildschirme

Aozora Bunko

口元など、別人のように痛々しく皺みくぼんでいる。息が抜けるので一層弱い声で、祖母は、

「なしてこげえな病気になったろう。……早く死にたいごんだなあ」

と訴えた。彼女は、病気より何より自分で厠に行けないのを苦にやんだ。一寸気を許すと、夜なかでも独りで立って行こうとするので困ると、看護婦が説明した。私は無頓着な元気な風で、祖母の一克さを笑った。そして、乱れた白髪を撫でつけてあげながら少し大きな声で、

「おばあちゃま、謡の種板を買って来たのだけれど、おききになりますか」

と訊いた。祖母は、暫く考えていたが、穏やかな口調で、

「謡はいいなあ、おら地言(文句)は判らないでも、音をきくだけで、気までしゃんとするごんだ」

と答えた。私は重ねて、

「おききになる?」

と尋ね、合点するのを見て悦びを感じた。友達は、数年前に母を失った経験を持っていた。彼女は、恢復力のない病人は、音楽などをいやがるようだと話した。祖母が、蓄音器を聴こうというのは、よい徴候だ、大丈夫だと、私は嬉しく思ったのであった。

翌日、祖母は鉢の木や隅田川など、満足した顔付で聴いた。傍で、把手を廻しながら彼女の楽しむ様子を眺め、私はレコードを買って来てよいことをしたと思った。