Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しんぴこんちゅうかん
神秘昆虫館
国枝 史郎
Lesen Sie 神秘昆虫館 (しんぴこんちゅうかん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.803 Zeichen · 213 Bildschirme
「鹿毛は戻って来るだろうか?」
「云い聞かせることに致しましょう。きっと大丈夫でございますよ。利口な馬でございますもの」
大岩を巡って木立がある。二人の居場所は薄暗い。その薄暗い一所に、馬が静かに立っている。青草を食べているのである。君江の愛馬の鹿毛である。三浦三崎の実家から、小一郎を乗せて江戸へ出て、そのまま小一郎の屋敷の裏で、飼われていたところの馬である。
君江は立ち上がって近寄ったが、優しく鼻面を手で撫でた。「鹿毛よ」と云ったが情のある声だ、「私達にとっては一大事、それをお前にお願いします。さあさあ谷底へ駈けて行っておくれ。そうして谷底を駈け廻わっておくれ。ドンドン遠くまで走って行っておくれ。疲労れた頃に帰るがいい。いつまでも待っているからね。さあおいでよ!」
と云いながら、君江は馬の平首を打った。
君江の言葉を聞き分けたからか、ないしは打たれて驚いたからか、馬は一声嘶いたが、谷底を目掛けて馳せ下った。
予想は中ったというべきであろう。
馬の姿は解らない。蹄の音ばかりは聞こえて来る。
「うむ、これなら大丈夫だ」
「うまくゆくことでございましょう」