Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぴこんちゅうかん
神秘昆虫館
国枝 史郎
Lesen Sie 神秘昆虫館 (しんぴこんちゅうかん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.803 Zeichen · 213 Bildschirme
季節は一月、所は大森林、凍りつくばかりに冷々する。ヒューッ、ヒューッと風の音がする。梢を渡っているのだろう。だが樹が密生しているためか、森の中には吹き込んで来ない。地面は凍てついてるらしい。その上を腐葉が蔽うている。で、ズボズボと足がはいる。
一式小一郎は傾斜面を、ズンズン上へ上がって行く。気が忙くので足が早まる。だが息切れのしないように、丹田へ力をこめている。
「考えてみればあぶなっかしいものだ」小一郎は心中で考えた。
「案内知らぬ森の中を、こんな塩梅にただむやみと、上へ上へと上がったところで、そのあるという大池へ、辿りつくことが出来るかしら? そうしてはたして大池の畔に、昆虫館があるかしら? 幸い大池と昆虫館とを目付け出すことが出来たとしても、あの美しい声の主を、発見することが出来るだろうか? ……だがマアそいつは考えまい。ただ歩くんだ歩くんだ! ただ進むんだ進むんだ!」
そこでズンズンと突き進んだ。と、森の木がまばらとなり、小広い一つの空地へ出た。一座の大岩が聳えている。
「はてな?」とその時小一郎は足を止めて耳を澄ました。その大岩に反響し、人の足音が聞こえたからである。