Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぴこんちゅうかん
神秘昆虫館
国枝 史郎
Lesen Sie 神秘昆虫館 (しんぴこんちゅうかん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.803 Zeichen · 213 Bildschirme
「なるほどな、そんなものかも知れない」心の中で呟いた。「昆虫館住民一人残らず、桔梗様を崇めているという、これには嘘はなさそうだ。外来者の俺が占有したら、たしかに不快に思うだろう。せっかくの平和が破れるだろう。こうなっては仕方がない。惜しい恋人ではあるけれど、桔梗様を見棄ててここを去ろう。そうして一まず関宿へ帰り、角屋の安否を尋ねて見よう。それから江戸へ帰るとしよう。だが待てよ」と小一郎は、吉次の顔をつくづくと見た。「醜貌ながらも智恵ありげだ。それもどうやら邪智らしい。こいつの言葉をそのままに、はたして受け取っていいだろうか?」ふとこの点へ気が付いた。
と、早くも片足の吉次は、小一郎の心中を読んだらしい。ヒョイと二、三歩飛び退ると、俄然態度を一変した。
十六
「ふふん」とまずもって片足の吉次は、毒々しく笑ったものである。
「承知か、それとも断わるか、俺の云うこと、どうだどうだ! もしも」と云うとピョンピョンと、二足ばかり飛び出したが、「断わると云うなら覚悟がある! 落ち下るぞよ、恐ろしい危険が! しかも即座だ! さあ返答!」
云いながら奇妙にも全身を、満足の一本の足の方へ、そろりそろりと傾けて来た。