Japanische Klassiker mit Furigana
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しんろのまき
神鷺之巻
泉 鏡花
Lesen Sie 神鷺之巻 (しんろのまき) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.672 Zeichen · 54 Bildschirme
小県が追縋る隙もなかった。
衝と行く、お誓が、心せいたか、樹と樹の幹にちょっと支えられたようだったが、そのまま両手で裂くように、水に襟を開いた。玉なめらかに、きめ細かに、白妙なる、乳首の深秘は、幽に雪間の菫を装い、牡丹冷やかにくずれたのは、その腹帯の結びめを、伏目に一目、きりきりと解きかけつつ、
「畜生……」
と云った、女の声とともに、谺が冴えて、銃が響いた。
小県は草に、伏の構を取った。これは西洋において、いやこの頃は、もっと近くで行るかも知れない……爪さきに接吻をしようとしたのではない。ものいう間もなし、お誓を引倒して、危難を避けさせようとして、且つ及ばなかったのである。
その草伏の小県の目に、お誓の姿が――峰を抽いて、高く、金色の夕日に聳って見えた。斉しく、野の燃ゆるがごとく煙って、鼻の尖った、巨なる紳士が、銃を倒す、と斉しく、ヘルメット帽を脱いで、高くポンと空へ投げて、拾って、また投げて、落ちると、宙に受けて、また投るのを視た。足でなく、頭で雀躍したのである。たちまち、法衣を脱ぎ、手早く靴を投ると、勢よく沼へ入った。
続いて、赤少年が三人泳ぎ出した。