Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅうさいようしかがみ
秀才養子鑑
佐々木 邦
Lesen Sie 秀才養子鑑 (しゅうさいようしかがみ) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.837 Zeichen · 32 Bildschirme
テッキリ泥棒だと思って、ワナ/\震え出す。怖くて溜まらないから、
「あなた。あなた」
と主人を起す。
「何だ?」
「泥棒が入っていますよ」
この時、御主人、騒いではいけない。これを切っかけに、別に能のない人だけれど、不思議なことに、泥棒が入った時には頼みになると思い込ませるが宜い。主人が起きて行って、見極めて来る。物音の正体は鼠だった。今まで息を殺していた奥さんは種が分るともう増長する。
「シッ! 畜生! 溝鼠!」
とあられもない。それだから女に寸法を知らせるということは考えものだ。小室君はその辺の駈引が甚だ拙かった。商大の予科で落第して、養父に叱られて一晩泣き明かしたことがある。そういう折からは図々しく構えて、学問は出来ない人だけれど非常時になると妙に胆力が据って来ると思い込ませる絶好のチャンスなのに、正直過ぎた。
「雪子さん、僕はもうこれで家を追い出されます」
と言ってシク/\泣き出したのである。
「そんなことありませんわ」
「いや、危いです」
「私がついているから、安心なさいよ。あなたは御自分で思っているほど悪い頭の持主じゃありませんわ。つい調子を下して怠けるからいけないのよ」