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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(三)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(三) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 222.108 Zeichen · 446 Bildschirme

Aozora Bunko

お花判をいただいたら、さっそくこれでお別れを」

飛脚は、その迅い足を見せて、もう先の角を曲がって行った。いつのまにか、子供らの影も消え失せている。

すぐにも手紙を見たい気がしたのだろう。兼好は山の庵へもどりかけたが、思い直したふうでそのまま傘をかかえ、酒つぼを提げ、足駄の音も不器ッちょに、たそがれ近い洛東の粟田口を、まごまごしていた。そして一軒の小酒屋を見かけると、

「や。しばらくだね」

と、そこの土間へ入って行った。

ここの小酒屋はなじみとみえる。

兼好は酒艶の出ている土間の卓へ頬杖ついて、横着猫みたいな眼つきでじろじろ店中を見まわしていた。

「ご亭主、いつから店を開けたんだい」

「つい五日前からですよ。いやもう、ひどい目にあいました」

「鎌倉の軍勢がどっと入ると、京中の酒が、たちまち、なくなってしまったそうだが」

「ひどいもンで、大酒屋の蔵はみな封印され、小酒屋も、雑兵たちの踏ン込み放題。タダ飲みされてしまいましてね」

「あげくに、店は休みか」

「笠置、赤坂とかの、戦は終ったそうですが、町の衆へ上げるお酒なぞは、てんで手には入りません。……そいつを、何とかした物なので、兼好さん、お気のどくですが今夜のはお値段が、倍の上にもハネ上がっておりますよ」