Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(三) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 222.108 Zeichen · 446 Bildschirme
児島高徳
――しかも、ほとんど休みなく夜を日についでの急ぎ方だった。
児島高徳
さきに贈り物をもって、備前の自領から加古川ノ宿に道誉を訪ねてすぐ去った松田五郎権ノ頭は、あの日、ふしぎな行動をとっていた。
その帰路、彼は近くの曾根ヶ浜へ出ると、乗りすてた馬を家来一同の手へ渡して、
「いいか。では、きさまたちはこのまま街道を船坂峠まで行って、三石村で三日の後を待つのだぞ。またその間も、帝のお道すじには、間断なく、細作(さぐり)の眼をくばっておけよ」
と、いいつけた。
そして、すぐ、おのれ一人、かねて待たせておいた速舟のうちに乗るやいな、両舷の水夫へ、
「行け」
と、命じた。
六挺の櫓は、ただちに櫓声を揃えて波を切った。――播磨灘を西南へ、潮流にも乗せて、その舟影は、みるまに海光のうちへうすれて行った。
「風が変った。帆を張れ」
夜は夜で、追い風をうけながら、夜どおし舟もかしぐばかりな帆しぶきを浴びつづけて行く。
かくて翌日の午さがりには、はや備前児島の外波崎をよぎり、五郎権ノ頭は、まだ陽のあるうちに、自領の吉備郡大安寺(岡山市・西郊)の富山ノ城へもどっていた。
「父上、戻りまいた」