Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(三) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 222.108 Zeichen · 446 Bildschirme
兼好は気がついて、われとわが身を、
「いい気な者よ」
と、憐れんだ。
それにしろ、途中で六角時信に声をかけられただけでもその功徳はあった。――追っ立ての兵たちも、ていねいに変って来たし、やがて四条京極の陣所では、よくある蹴る撲るの乱暴な目にもあわされなかった。
揚屋とよぶ板囲いの内に、ひと晩、ぶちこまれたばかりである。天皇ですらこれくらいな目には遭わされている異常季節な世とおもえば、腹が立つこともない。
彼は、朝夕の獄飯を、少しずつ残しては、命松丸がよくやるように、掌の上で、雀にそれを食べさせていた。
すると、二日目の午さがり、番卒がやってきて、彼を外へ呼び出した。
牢の外には、ひとりの部将が待っていた。しかも、いんぎんな恰好で、
「やあ兼好どの。お気のどくな目におあわせした。きのうからの無礼は、どうか御用捨を」
と、なんべんとなく、腰をかがめる。
「……ほう?」
いずれは白洲にでも曳きだされて、権柄な言いがかりやら笞にも耐えなければなるまいかと、腹もきめていた兼好なのだ。
それなのに、相手は、
「まったく、部下どもの思い違いでおざった。一切は当方の落度、どうかお忘れおきを」