Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(三) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 222.108 Zeichen · 446 Bildschirme
「おひきとめせねばならん」
「いや、宮は思い止まるまい。父にしても、この期となっては」
「ここで言い争ってもぜひないことだ。あまり居城を遠く出られぬうち、ともあれ、お目にかかった上の対策とするしかあるまい」
高徳は立ち上がった。
五郎も気は急く。そして、共に門外へは出たが、高徳は、郎党わずかを連れたのみで、ここの今木城の兵をひきつれて行く様子はなく、
「あとを守れ。物見をおこたらず、たえず飽浦方面に満を持して、不意の攻めに突かれるな」
と、留守の将へくれぐれ注意して立つという入念ぶりであった。
一方。
この宵、松田重明はすでに千余の兵を動員して、居城の大安寺を立ち、やがて財田の辺もすぎていた。
子息の権ノ五郎と高徳らが追ッついたのは、もう山陽道の山せばまッた浮田の谷道へ軍がかかっていた頃だった。兵馬はここで俄な停頓をみせた。――宮も加えて、協議のためだったのはいうまでもない。
ここで、高徳の口から、備前佐々木党のうごきを聞かされた重明は、すくなからず驚きはしたが、
「やはり佐々木道誉、ぬけ目はない。さすがな者だ」
と、感嘆した。
そして、子息の五郎へ、
「そちが加古川ノ宿で会った道誉は、さあらぬ態に見えたろうが、なんぞ知らん、這奴は何もかも、とうに見ぬいているのじゃよ。