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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(三)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(三) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 222.108 Zeichen · 446 Bildschirme

Aozora Bunko

一瞬は、さすがびくとしたが、彼女の白い手の紙燭は慄えもしていない。むしろ、きつ過ぎるほどな眼ざしでさえあった。

「では、誰じゃ。佐々木や小山の手の者とも見えぬが」

「深夜、御寝のあたりをお驚かせ奉り、重々の罪とは存じますなれど」

「余事は要りません。ただ、何者なるかを、いうたがよい」

「備前今木の住人、児島三郎高徳と申しまする者」

「高徳とな……。耳にしたこともない名だが」

「もとより田舎武者。雲上にまで聞えているほど名のある者ではございませぬ」

「その高徳とやらが、して、何しにこれへは」

「去年の冬から、備前にお渡りあって、守護の松田の内にお潜み中の大覚ノ宮を、これへご案内してまいりました」

「大覚ノ宮?」

紙燭が消えかかった。

眉をひそめた彼女の白い顔から肩のあたりへ、花が舞った。

「……大覚ノ宮などと仰っしゃる親王はおわさぬぞ。そちは曲事を申しておるの」

「や、おゆるしを。……うかと申し損じまいた。大覚ノ宮とは、世を忍ぶご変名。まことの皇子名は恒性と仰せられます」

「えっ」

彼女はあきらかな驚きを全姿に見せた。――その恒性の数奇な身の上は、後醍醐に次いでは、彼女ほど詳しく知っている者はない。