Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(三) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 222.108 Zeichen · 446 Bildschirme
……放されたのも、たった今のことでしかない」
「して、それは誰の救いで?」
「いや放してくれた者も、その佐々木道誉」
「仰せの意味、よう解せませんが」
「されば、その道誉の心は、わしにも解せん。彼は鎌倉の重臣、しかも帝を警固して行く重責の大将でもあるに」
宮は、不審の中から、記憶をたどって、はなし出した。おとといの土倉の中のこと。道誉の調べ振りのこと。
まず第一の不審は、
なぜか道誉は、その取調べも、部将に委せず、部下の者へは「物盗みに紛れ込んだ乞食法師にすぎん」と称して、ただ宿所の土倉へ抛りこんだままにしていた。
しかし、その土倉の中では、じっさいには大覚ノ宮のこれへ来た目的から身の上までを、彼自身、宮の口からしかと聞きとっていたのである。
宮は観念され、何もかも包もうとはなさらなかった。――だから今暁、まだまっ暗なうちに曳き出されたときは「――打ち首か。六波羅送りか」と、すでに一命はあきらめ果てていたのだった。
ところが、道誉は人なき所へ宮を連れて行って、意外にも、こう言ったものではないか。
「帝駕は、いますぐここをお立ち出でになります。自分の立場として、ご対面はゆるされませんが、何ぞ、叡慮に達したい御一念があるなら、道の桜の小枝に、お歌でも書いて結んでおかれてはいかがですか。