Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(三) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 222.108 Zeichen · 446 Bildschirme
北も東も、絶壁だった。切り削いだような岩石の峨々たる下は木津川や布目川の急流だ。しょせん甲冑では取りつきようもなく、
「これやいかん。まるで拳で石を割ろうとするようなものだわ」
と、寄せ手の諸将も、ようやく、あぐね顔だった。
無理押しを逸ッた先鋒は、すべてここ十日ほどの間に、外聞の悪いような損害をつみかさね、逆に、孤峰の城をほこらせるばかりに終った。
「これでは、いかに大軍を擁したところで役にもたたん。ほかに何とか、攻め口はないものか」
「いや、待てばまもなく冬が来よう。敵の兵糧にも、限度がある」
ところが。
彼らのそんな目企みはゆるされなかった。
たまたま、後方の連絡は、
「楠木一族が、宮方に応じて、河内の赤坂に旗上げしたぞ」
と、つたえて来たし、また、はるか備後の桜山四郎茲俊も、同国一ノ宮を城郭として、宮方加担を声明し、兵を山陽にあつめているとの早馬だった。
そのほか、伊勢平氏いらいの関一族や、大和の奥の地方でも、大塔ノ宮の募兵に応じて起ったものが日ましにその勢いを増して来たというし、おなじ気運の兆は、頻々と、諸国からここへ響きつたわっていた。
「すわ。