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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(五)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(五) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 252.330 Zeichen · 505 Bildschirme

Aozora Bunko

「これはいかぬ。ここは捨てよう。東勝寺へ退け。葛西ヶ谷の東勝寺へ移ろうぞ」

高時は、急に左右の将へ言って、ただちにここの移動を命じはじめた。

移動には、何の危険もともなわなかった。葛西ヶ谷は、すぐ近くなのである。

柳営のひがし裏、小町門からあふれ出た人数は、東南の低い山ふところへ、熔岩の流れみたいにどろどろ移りはじめていた。

高時をつつむ、一門眷属の甲冑から、常葉ノ局やお妻の局や、また春渓尼の姿もそのなかに交じって見える。そしてこのときまだ、武士千余人はいたはずであるが、はやくも混雑まぎれに、

「いまを措いては」

と、附近の藪へ物ノ具を脱ぎすてて、身一つ、どこへともなく落ち去った武士も少なくはない。

ところがまた、その半面には、思いがけない者どもが、谷の奥から東勝寺の山門へむらがり出て来て、

「おおう、ご執権さま」

「御所さま」

と、高時の姿のまえへ、口々に何かさけびながら、身を投げだしてぬかずいた。数も何十人かわからない。

「や、や」

高時は、そのたくさんな顔の、濡れている頬を、一つ一つ拾って、なつかしそうに呼びかけた。

「そちは仏師の隆慶よな」

「は……。