Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(五)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(五) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 252.330 Zeichen · 505 Bildschirme

Aozora Bunko

土の牢

鎌倉は危殆にひんした。あたかもこれ、かつて北条高時が、新田義貞の猛攻撃の中におかれたあの日を逆にしたようなものである。

ついに、足利直義は、ささえきれず、鎌倉をすてて西へ逃げ落ちる腹をきめた。

それが、七月二十一日の事。

土の牢

直義の鎌倉放擲は、直接鎌倉から逃げたのではない。

七月二十一日。

彼は、武蔵井出ノ沢の陣地にいた。――今の都下町田市本町田から鶴間ヶ原のあたりである。

味方の多くが死んだ。

入間川、小手指ヶ原、府中、分倍河原、関戸――と前線いたるところでやぶれ、岩松経家など、おもなる将も何人となく討たれたので、

「いまは」

とばかり、直義の気性、鎌倉内の残り少ない兵をひっさげ、関戸附近のたすけに出たが、そこでもさんざんに負けたので、

「ひと息入れん」

と、井出ノ沢まで、退いたのだった。

「負けた! ものの見事に敗北したわ。だがよ! 足利勢が弱いせいとはいわさぬぞ。どうだ、そう思わぬか。それとも、直義の負け惜しみと聞ゆるか」

異口同音に

「なんの!」

と、彼をくるむ血や泥まみれな部将たちも叫んだ。

どの眼もギラついていた。汗の塩も出つくしている。