Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(五) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 252.330 Zeichen · 505 Bildschirme
ここへ、下向いらい、細川和氏が「――急務第一の任」とばかり、八方手をつくしていたのは、主君高氏の夫人、登子の方の捜査だった。
若御料(千寿王)には、おつつがなく御安泰。
と、そのことは、すぐ都の高氏へ飛報してある。
だが主君の胸になってみれば、敵国の中においたままの妻が、生きてか、死んだか、今は一刻も早く安否を知りたいとしているだろう。
千寿王附きの紀ノ五左衛門も、この数日らい寝食もわすれて、捜しに出ていたが、
「……とんと、聞きうる所は何もござりませなんだ」
と、その夕も、悄然としてもどって来た。
これまでの間に分っていたことといえば、登子の兄守時が、山ノ内合戦における悲壮な死と、それの数日前までは、たしかに登子の姿を、おやしき内で見たという赤橋家の老婢の言をつかみ得たことだけでしかない。
ところが、また一面には、
「いやいや登子の御方は、それいぜんに、ご自害なされた。――千寿王どのの鎌倉脱走の騒ぎと共に、罪が兄の守時どのにかかって来たので、或る朝、お仏間のうちで」
と、まことしやかにいう者もかなりある。
しかし、その説には、紀ノ五左衛門が首を振った。