Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(五) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 252.330 Zeichen · 505 Bildschirme
「まこと眉目清秀の好丈夫」
「まだお年も二十七。天台座主であるよりは、やはり馬上青春のほうが、ご気性にかなっているのか」
「いや、お似合いでもある。あの馬上凛々なお勇ましさのどこやらは」
宮が過ぎると、後衛の軍には、千種忠顕が、一千余騎で、炎日の下をつづいて行った。
かくてその日、父皇後醍醐とのご対面は、とげられた。
これで、巷の揣摩臆測も、一掃されていいはずである。一般の疑いも解けたはずだ。
ところが、じっさいには、かえって逆な反応をしめしだした。民衆はもう感じとっているのである。彼らは上層の機微など何も知らないし、論理的に事を考えるわけでもないが、本能的に、本源的な発生の法則を知る能力の持ちぬしだった。
「ここ六波羅の足利どのは、川の向うで、しいんとしてござらっしゃるが?」
「どうなろう? 宮将軍と」
「いや、むずかしいことになったぞ。兵馬の権とやらは宮のお手に収められたが。……黙っていようか、一方で」
「それよ。足利どのの勢力が増さぬうち、あの一勢は、ぶち潰すとか宮の武士はいっている。……ゆうべも、殿ノ法印の家来衆が、辻の小酒屋で言っておった」
こんなあいだにも、二条の皇居は、日々入る吉報にのみ酔っていた。