Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(五) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 252.330 Zeichen · 505 Bildschirme
「理はまあ、さようでも」
「いや彼の証判などはいらん。わしは大塔ノ宮御直々に宿所をいただく。そうだ、ひとまず千種殿のおん許まで行こう。二条の千種殿のとこまでまいれ」
ところが、同勢、蹴上をくだって、粟田口の下まで来ると、そこに待っていた一群の武士がある。――高氏の名代として、弟直義が六波羅から来ていたのであった。
直義は、平服だった。すずやかな狩衣すがたで、
「おお絶えてお久しぶりな。……さだめし、おつかれで」
と、義貞の前へ来て、何かと出迎えの辞をのべた。
「や、わざわざ」
あわてて義貞も駒をおりた。ついさっき、旗もとたちへ、豪語を吐いたてまえがある。いささか、ぎごちない応答だった。
「兄高氏がまいるところでございましたが」と、直義のほうは、にこやかに。
「あいにく今日は、御用のため禁裡へ召されており、くれぐれ、よろしくと申しつかってまいりました。鎌倉入りの目ざましいおはたらきには、一同驚嘆申しあげており、また陣中では千寿王をお引立て給わるなどお礼のことばもございませぬ」
どこまで、行きとどいたあいさつである。――義貞もこれはすこし自分の方が悪く取りすぎていたかと思った。