Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(五) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 252.330 Zeichen · 505 Bildschirme
はなはだしきは、天皇の准后三位ノ廉子すらも、賄賂を好む方のおひとであると、執事船田ノ入道などは、職掌柄、たしかな筋から耳にいれていた。
「ほんとかの?」
義貞は、あやぶんで、
「粗相するな」
と、彼の執事振りにも、その渉外面の行き過ぎにも、注意を与えたほどだった。
すると、船田の善昌は、
「いや案外なもので……。じつはてまえも、よもや後宮のおん方まではと、さし控えておりましたが、何と、足利家の執事、高ノ師直のごときは、とうに御簾中へ近づきを得て、准后のお覚えもいとめでたいそうでございまするで」
と、暗に自分の手腕も誇るかのように言って笑った。
ついこのところ、公務の忙しさに取りまぎれて。
爾来、ご不沙汰申してきた。
つもるおはなしもいろいろとたまっている。お気がるに、今夕、お出かけくださるまいか。お待ち申しあげておる。
――こう六波羅の高氏から招きがあって、義貞は、その夕、
「行かずばなるまい。月毛の背に新しい鞍をおけ」
と、近侍の瓜生保に、駒支度をいいつけ、自身もすずやかな小袖狩衣を、つとめて都風に、着かざっていた。
「兄者、おひとりですか」
「む、高氏の招き文には、誰と御一しょにとも書いてない」